PepMetics®技術に合わせた
in Silico 創薬技術
in Silico 技術はコンピューター上での化合物の設計、タンパク質と化合物の相互作用の分析など、様々な目的で創薬に活用されています。当社では PepMetics®技術を生かす独自のin Silico 創薬技術を築き上げてきました。PepMetics®技術の持つ特徴的な化合物群の構造や特徴をコンピューター上で正しく予測するために多角的な取り組みを続けています。
PepMetics®化合物専用の分子力場の開発
計算技術の発展により、コンピューター上での分子設計が創薬研究において重要な手法の一つになりました。計算化学では分子がどのように動き、形を変え、標的タンパク質と結合するかを計算機上で予測します。
分子力場(りきば)は分子シミュレーションで使われる重要な技術基盤です。分子力場とは「分子の世界のルールを記した辞書」のようなもので、原子同士の引き合いや反発、結合の伸び縮みなどを数式とパラメーターで表します。実験だけでは捉えきれない分子の動きを高い精度で予測可能です。
一般にこの分子力場は、従来の低分子化合物の動きを再現するよう汎用的に作られたものが用いられています。しかし、PepMetics®化合物は当社で独自に開発された化合物であり、汎用的な分子力場で は立体構造や挙動をうまく再現できません。そこで当社では、PepMetics®化合物に合致する独自の分子力場を開発しました。
PepMetics®化合物専用の分子力場により、PepMetics®化合物の振る舞いや機能を分子シミュレーションで正確に再現し、当社の分子設計に応用しています。
量子力学による構造情報の活用
PepMetics® 化合物は柔らかさと堅さを兼ね備えた構造を持っています。 当社ではPepMetics®化合物の立体構造と挙動の正確な理解を分子設計に活かすため、量子力学を用いて計算しています。
分子構造の正確さは構造活性相関(SAR)研究の根幹です。精度の高い計算構造に基づく分子設計がin silico 創薬の価値を高めます。当社では量子力学を用いて、新しい PepMetics®骨格の設計や、化合物の物性パラメーターの予測などのさまざまな取り組みを進めています。トップレベルの計算化学が創薬を成功に導くと考えています。

※公開済みの化合物の構造例
動的な相互作用解析に基づく分子設計
タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)を標的とする創薬では、タンパク質の本質を捉えた分子設計が必要です。古くから標的にされてきたタンパク質-基質間相互作用(酵素-基質相互作用等)では、相互作用に伴う「構造の変化が小さいポケット」を狙った分子設計に限られていました。しかし PPI では必ずしもポケットが存在するわけではありません。
PPI 創薬では、タンパク質が大きな構造変化を伴う分子運動をしている点を考慮した分子設計が必要です。「タンパク質-タンパク質相互作用を標的とする創薬は難しい」と言われるのは、ダイナミックに動いているタンパク質と的確に相互作用する分子の設計が必要だからです。
当社では分子動力学シミュレーションを積極的に取り入れています。タンパク質と基質分子の動的な相互作用を解析による精密な分子設計によって、タンパク質-タンパク質相互作用を適切に制御する化合物を創出しています。

ホットスポット分析
ホットスポットは、タンパク質-タンパク質相互作用を標的とする際に、どの部分を狙って分子設計をすべきかを考える重要な指標です。タンパク質-タンパク質相互作用では、あるタンパク質と別のタンパク質が広い面で接触しています。ただ、必ずしも面全体がタンパク質-タンパク質相互作用に必須というわけではありません。相互作用を強める鍵となっているホットスポットを同定して標的部位にすれば、表面積が比較的小さい低分子でもタンパク質-タンパク質相互作用に干渉できます。
ホットスポットの分析には実験的な手法がよく知られています。しかし、典型的なアラニンスキャンなどのタンパク質のアミノ酸を置換する手法は、タンパク質の変異に伴う構造変化を引き起こす可能性があるため、必ずしも天然のタンパク質が持つホットスポットを見出せるとは限りません。
当社では、独自のノウハウを用いて、in silico でホットスポットを同定して創薬に活かしています。ホットスポットを含むアミノ酸配列を模倣する分子の設計や、複数のホットスポットにまたがることのできる骨格の活用を通して、ヒット化合物を効率的に創出しています。

このように当社では PepMetics®化合物と PPI に特化したin silico 創薬技術の導入・開発に努めています。専門性の高い技術開発を通して、精密な分子設計を可能にしています。
