PepMetics®は AI との親和性が高い
当社では PepMetics®の特徴を生かした AI 創薬を推進しています。PepMetics®化合物は、多様な側鎖のバリエーションを持ちながら共通性のある独自の骨格を基盤としています。そのため、PepMetics®の化合物空間は構造の体系性が高いことが特徴です。
構造的に多様で化合物空間が無制限に広がる従来の低分子化合物ライブラリーでは、汎用性のある機械学習モデルの構築が容易ではありません。構造と物性・活性との関係を学習する機械学習モデルにとって、PepMetics®は効率的に知識を獲得しやすく、AI との親和性が高い創薬モダリティであると期待されます。
そこで当社では、AI 技術を積極的に取り入れた創薬研究を進めています。分子設計、物性・動態予測、候補化合物の優先順位付けなどにおいて、データサイエンスと計算科学を融合したアプローチを実践しています。PepMetics®の構造的特徴と、当社が蓄積してきた実測データおよび AI 活用の知見を組み合わせることで、創薬研究プロセス全体の高度化・高速化に取り組んでいます。
PepMetics®化合物の物性・薬物動態予測
当社では PepMetics®化合物に特化した物性・動態の AI 機械学習モデルを運用しています。化合物の物性や体内動態などのデータは化合物の構造に依存するため、PepMetics®化合物群を横断して蓄積可能な実測データは、汎用的な学習データセットとして大きな価値を持ちます。当社では、これまでに当社で得られた独自のデータを活用して、PepMetics®専用の予測モデルを構築しました。化合物探索の効率化を通して、創薬の成功確率の向上に大きく寄与すると期待しています。
また、当社が用いている予測モデルでは、予測結果とあわせて予測の信頼性も算出しています。これにより、AI 予測の結果をブラックボックス化せず、研究者自身がそれをどのように活用するか判断できます。
当社では、in vitro 薬物脂溶性(LogD)、溶解性、膜透過性、ミクロソーム代謝、薬物代謝酵素阻害(CYP 阻害)、タンパク結合率、細胞毒性、心臓安全性(hERG 阻害)等について、AI 予測モデルを作成し運用しています。
PepMetics®化合物への AI 技術の活用
一例として膜透過性の AI-ADMET 予測の推移を示します。下図の結果から、データの蓄積に伴い、予測結果と予測信頼性が高い化合物数の割合の両方が向上しており、PepMetics®化合物群の 80%近くを 90%以上の正答率で予測できている事が分かります。この事から、研究者が安心して使える予測レベルに達していることが分かります。

PepMetics®化合物への AI 技術の活用:AI-ADMET 予測
AIによる予測モデルは、学習に用いるデータ量と質の向上に伴いその精度が継続的に高まることが期待されます。このため、今後も継続的に PepMetics®化合物の実測データを収集し、AI予測モデルの精度向上、信頼性の高い分子設計および創薬研究の効率化を図っていきます。
高活性化合物から臨床候補化合物の創出
医薬品の創出には高活性化合物を見出すことが重要です。当社では構造や活性等をパラメータとした AI による高活性化合物の創出を推進しています。創薬の DMTA サイクルの中で、PepMetics®に特化した AI を活用することで創薬プロセスを加速している点が当社の特徴です。立体構造解析や量子力学計算を組み合わせて学習効果を上げることにより、効率的な創薬を進めています。
PepMetics®分子の特性を生かせるのは AI 活用における強みです。PepMetics®は骨格と側鎖を組み合わせて臨床候補化合物を創出する点が特長です。PepMetics®ライブラリーでは、天然タンパク質を模倣するため、天然アミノ酸由来のペプチドの構造を主に活用しています。しかし、天然アミノ酸の側鎖は医薬品として必ずしも最適ではありません。当社ではヒット化合物を起点として側鎖の構造を変換し、臨床候補化合物を創出します。側鎖の変換では科学者のアイデアだけでなく、生成 AI を生かして、医薬品としてより価値のある構造を生み出す戦略を推進しています。

※フェノールの変換
このように当社では PepMetics®技術と AI との親和性の高さに着目し、独自の方法で AI 創薬を進めています。AI の可能性を幅広く模索して応用し、創薬の確度と速度の両立を目指しています。
